海野秀之(うんのひでゆき)の外部記憶
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うぅ、「将棋」カテゴリを立てるのはずーっと後のつもりでしたが、 ちょっと面白い計算結果がでたもので。
ある局面を、駒の損得だけで評価するものとします。 「100% 先手が勝つでしょう」を 1, その逆が 0, 半々が 0.5 のような評価値を得たいとして、 どんな計算式でもとめましょうか?
今日時点で私の手元にある回帰方程式はこんな感じになりました。
p = 0.5326 + 0.0803 * 金 (= 先手が持っている金の枚数 ひく 後手が持っている枚数) + 0.0520 * 銀 (以下同様) + 0.0258 * 桂 + 0.0163 * 香 + 0.0053 * 歩 + 0.0625 * 飛 + 0.0601 * 角 + 0.0782 * 成銀 + 0.0806 * 成桂 + 0.0362 * 成香 + 0.0494 * と + 0.1299 * 竜 + 0.0990 * 馬
駒の損得なしの状態で先手が勝つ確率は約 53% *1。 金をただで取られたら、片方に金が 1 枚ふえて、片方から 1 枚減るので、 確率は 0.0803 * 2 でおよそ 16 ポイント変化します(パーセンテージが 16 変動する)。 手元のデータ (から推定した線形 *2 回帰方程式) によれば、ですが。
これだけで何かの役にたつものではないし、そもそも、単純な計算まちがいをやらかしている 可能性も大ですが、上の数字を見ているだけでも、結構楽しい。
飛車と角の価値がほとんどおなじなのは、プロの棋譜を分析したから、かな (初心者は飛車を好むといいますね)。
意外にも 金 > 飛車,角 なのは、成ってなんぼということなのか。 例えば、仮に相手の金と自分の飛車を交換して、その後相手に飛車を打って竜をつくられたら、 ちゃんと「不利」とでます、一応。 あ、でも、プロの棋譜に登場しないようなトレードオフは回帰係数に反映されないのかも……知れない。
やはり竜最強。
歩→との昇進ぶりは、やはり。
序盤(プロなら互角のはず)でも角交換とかは普通にあってその交換の瞬間の角得(次の手でevenの戻る)が見えるのに対して、金物は中盤以降決めに入るときに交換されやすいから、とか言ってみる。(大駒切って詰めに入るとかも影響するかな?)<br><br>飛車が成るだけで7%勝率が上がるんですね。<br><br>手番も計算に入れてほしいなー。
ふひひひ、ね、たのしそーでしょ。<br>重みを眺めているだけでも、いろいろ想像がふくらみます。<br><br>> 手番も計算に入れてほしいなー。<br><br>ええ、回帰式のモデルに手番を入れたほうが、精度が高くなりそうですね。<br><br>ま、それに限らず、いろいろやってみます。<br>いろいろ。
お、そうそう。<br><br>> 飛車が成るだけで7%勝率が上がるんですね。<br><br>こう読めるんですが、これが曲者で。<br><br>プロは、きっと飛車が成る*だけ* という指しかたはしないんですよね。<br><br>プロの読みによって、成る価値があると思われた場合にか、成らない。<br><br>だからこその、7% である筈です。<br><br>と、いうのは易いが…というわけで。
金を簡単には手放さないから、とか、詰みがないのに無闇に守りの金を剥しにはいかない、とか、ありそうです。<br><br>プロの棋譜には、背後に莫大な情報(=研究成果?)が隠れていそうで、おそろしい。
自分むけメモ:<br><br>手番を勘案することに関して。<br><br>標本点を、「次が先手の番」と「次が後手の番」の2グループにわけて、同様の回帰分析をそれぞれに対してやってみよう。<br><br>線形回帰方程式の説明変数に「手番」を加えるのがいい場合には、上の両者の違いは定数項のみになるはずだし、そうでなければ、そうでない何かが見えるはず。<br><br>(駒の損得については「何か」は「何もない」の可能性が高いと踏んでいるのですが、<br>盤上の状況をパラメータ化した場合には、手番がこっちにあるなら大丈夫だけど、逆だとやばい「傷」みたいのが見えるんじゃないか等と妄想中……)<br><br>と、いいますか、おうちの note ちゃんはメモリが少なくて(2003 年購入、いちお増設したので 768MB 搭載)、手持ちの標本数そのままだと多すぎて、on-memory で動けなくて、分析にひっじょーに時間がかかるの。スラッシングの嵐で HD 回りっぱなし。<br><br>リーズナブルな理由で分割できるなら、したいという動機が別にあったと。
↑言い訳註:<br><br>えー、あー、妄想は妄想ですので。<br>上に書いたようなのは、静的な評価によらず、動的なゲーム木探索によって評価に反映されるべきもののようーな、とも思ってます。