問題 4

X\mathbb{K} 上の有限次元ベクトル空間、 V をその部分空間とし、かつ V \ne X とする。 (v_{1}, \cdots ,v_{r})V の基底とし、かつ V に属さない元 x \in Xを取る。このとき \{x, v_{1}, \cdots ,v_{r}\} は一次独立である。このことを証明せよ。

解答

\{x, v_{1}, \cdots ,v_{r}\} が一次従属であると仮定すると、 全てが 0 ではないスカラーの列 a_{0}, a_{1}, \cdots , a_{r} \in \mathbb{K} が存在し、 次の式を満たす。

a_{0} x + \sum_{i=1}^{r} a_{i} v_{i} = 0

ここでもし a_{0} = 0 だとすると \sum_{i=1}^{r} a_{i} v_{i} = 0 となってしまい、 (v_{1}, \cdots ,v_{r})V の基底である(したがって一次独立である) ことに反するため、a_{0} \ne 0 である。そこで、上式を a_{0}で割って整理すると、

x = \sum_{i=1}^{r} \frac{- a_{i}}{a_{0}} v_{i}

となる。xV の基底ベクトルの線形結合で表現されることは x \in V を意味し、条件に反する。

よって、\{x, v_{1}, \cdots ,v_{r}\} は一次独立である。

更新履歴

2008-01-24: Web で公開されている 「解答と講評」には具体的な解答例が示されていなかったため、 自分で書いてみた。これで大丈夫じゃないかとは思うんだけど……。


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